vol.12  若者の独立と団地の役割


ある新聞記事によると、日本では若い世代の独立とその後の転居の数が、20年前に比べて、約6割程度に減っているということです。

東京都の世帯年収の変化と賃貸住宅の月額家賃の変化とともに紹介されていましたが、世帯の年収は低所得側にシフトし、月額家賃は高額にシフトしてきています。

この状況が若者の親元からの独立を躊躇させている原因のひとつでもあり、それは日本の少子化や経済にとっても、良いことではないと書かれています。


ヨーロッパでは、若者の独立を促す役目の公的賃貸住宅が20%前後あるのに対して、日本は5%。

日本にはもっと、若者が独立、結婚といった「次の段階」に踏み出すことを助ける施策が必要で、本人たちが望めば、「次の段階」へ進める社会のために、低コスト賃貸など、住宅からのアプローチがより必要だという内容でした。


この記事を読んで、団地に暮らすことをもっと進めたいと思った時の気持ちを思い出しました。



私自身、26歳の時に親元から離れて暮らし始めたことで、いろんな世界を見ることができたと思います。
第2の人生が始まったような感覚です。

(詳しくは、【代表のプロフィール】をご覧ください。)

そして団地と出会い、これまで考えたことがなかった暮らし方の選択があることに気が付きました。

 

3DK 55㎡の部屋を350万円で買って、それをリノベーションして暮らす。

しかも、リノベーション費用を抑えるために自分でできそうなところは挑戦する。(結局、総額600万円台で、内装一新された部屋での暮らしが手に入りました。)

そんな暮らしの始め方は、当時は、考えもしませんでした。

 

どこかに家を買おうとしたら、数千万円が当たり前で、35年のローンを組んで(そもそもローンが組める属性であればですが...)、払い続けるために仕事を続け、自分のしたい仕事でなくても我慢する。

それが、普通の考え方で、当たり前の選択肢だと思っていました。

 

でも、違う選択肢もある。

多額のローンが組めなくても、自分の好きな仕事をあきらめなくても、手に入れられる暮らしがある。

新たな一歩は踏み出せる。

そのことをもっと多くの人に知ってもらいたいと感じたことを、思い出しました。



記事の中では、公的な住宅や家賃の補助といった施策が例として挙がっていますが、自治体へ家賃補助などの支援をあまりに期待してもどうかという気持ちもあります。

 

幸か不幸か、日本全国、空き部屋や空き家はたくさんあります。

私の専門である分譲団地にも、空いたままの部屋(=所有者が住んでいなくて、賃貸にも売りにも出していない部屋)がたくさんあります。

そして、それはこれからもっと増えてくるでしょう。

 

住んでいなくても、毎月の管理費・修繕積立金は払う義務があります。

持っているだけで毎月お金が出ていく、そんな部屋がたくさんあります。

この状態は、資産を無駄にしているのと同じではないでしょうか。

しっかりとした共用部の管理がされている団地であればなおさら、もったいない状況です。

 

公的住宅や家賃補助とはちょっと違いますが、そういった部屋を、これから一歩踏み出そうという若い人たちに、安く使ってもらうための方法があるのではないかと思います。


たとえば、安くで借り上げて、リノベーションして若い人にサブリースすることが考えられます。

部屋自体は個人の所有ですが、ある意味、それを社会的な資産と捉えて、若い世代の独立を促すために活用していくことに共感してくれる所有者を増やす努力が必要ですし、

その部屋や団地で暮らすことが、魅力的であることも重要です。

そして、若い世代にそんな暮らし方があることを知ってもらうことが最も重要です。

 

簡単に実現できる話ではなさそうですが、

かつて都会で働く人のための住居として造られた団地を、これからは、「次の段階」に進もうという若い人たちにとっての新たな一歩として活かしていく。

社会的な意義も含めて、団地の新たな役割を提案していくのも、我々のような団地に関わる事業者のひとつの仕事であると思います。

 



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